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2010/11/26

シカゴエクスプレス(CE)の魅力について

 シカゴエクスプレス(以下「CE」と表記)は、いわゆる18XX系の鉄道ゲームに比べて圧倒的なルールの量の少なさとプレイタイムの短さという長所があり、初めてプレイする鉄道ゲームとしても優れています。手番が来たら3つのアクションから1つ選ぶだけ。株を買って自分の思い入れのある鉄道を伸ばしていく楽しみが簡単に味わえます。私の周辺でもCEの評判は高く、例会に持っていくとまず一回のプレイで終わることはなく、リクエストが掛かって続けてプレイすることが多いです。しかし慣れないうちは、次の2点を必要以上に意識してしまいがちで、ゲーム展開もそれに縛られ単調になりやすいようです。

 (A)株を買う時には、あるい程度高い値段をつけないと線路を引く資金が足りなくなる。

 (B)シカゴに到着した会社には、臨時の配当がある。

 確かにシカゴに行けるものなら行ったほうが良いのですが、「急いで」行く必要はありませんし、行けないのであれば、無理に行く必要もありません。この(A)と(B)が結びついて、つい「高額で株を落札し、その資金を使っていち早くシカゴに行く」ことが勝利の方程式のように錯覚してしまいます。ゲームに慣れていないうちは、プレイヤー全員がこの錯覚に陥っていますので、各自が自分の会社を育てる感覚で、保有する会社の株を自ら競りに掛け、手持ち資金全額を投入しようかという勢いで値付けをし、その資金を使ってシカゴに向かって一直線に線路を引いていきます。そして、同じ株を持ち合う人同士で協力し合って線路を伸ばす「協力プレイ」も度々見られます。こうした和気あいあいと線路を仲良く伸ばしていくプレイも「あり」だし、楽しい部分もあるのですが、これはCEの魅力の一部に過ぎません。

<CEをより楽しむためのポイント>

  ○配当の高い会社の株は積極的にオークションに出し配当率を下げる。
  ○会社の株は、他人には高く買わせ、自分は安く買う。
  ○他プレイヤーの所持金に注意する。
  ○ヌルアクション(ノーアクション)の活用。
  ○無駄駒の配置

 「1株当たりの配当額は、会社の収益を発行株数で割った金額」であるため、会社の株がオークションに掛けられると、配当比率が下がり、基本的には収入が下がることになります。従って(自分が絡んでいない会社の株で)1株当たりの配当が高くなっているものについては、積極的にオークションに出して、1枚当たりの配当額を下げます。安ければもちろん買ってもいいんですが、これを買い支えられた場合には、さらに競りに出し続けます。買い支えようと高値で買っていると、そのプレイヤーの手持ち資金は底をつきます。そこでさらに競りに出すとどうでしょう。彼は買い支えることができません。「同じ株を連続で競りにかけ、相手の資金が尽きたところで安く買う」のです。極端な例ですが、あなたは底値でその株を1つ買えるかもしれません。3株を$45出して買い集めた人がいて、あなたがその直後に$5で1株を買えたとします。会社の資金は$50ですが、あなたはそのうちの$5しか出していません。でもその資金を使って自由に線路を引くことができますし、配当も10分の1ではなく4分の1が貰えます。


 CEの勝利条件はお金です。「お金を増やす=会社の収益を上げる」ことのように思えますが「他人に損をさせる(多額のお金を使わせる)」ことで相対的に自分のお金が増えたと考えることもできます。必要以上の価格で株を買ってもらえれば、自分にとってはプラス勘定と考えることができます。上記の例を単純に比率だけで考えれば、一株当たりの購入額が15ドル:5ドルですから、10ドル=10VPを得たのと同じことになります。
 つまり株というのは、線路を引けるだけの価格で買う必要など無くて、とにかく安く買えれば良いのです。その結果、株式が全て出払っても会社にお金がほとんどないということもあるでしょう。でもそれでいいんです。無理にシカゴに行く必要なんかないんです。シカゴというのは、それだけの資金を集め、「建設」アクションを複数回消費して初めてたどり着くものです。要は、そこまでの労力をかけるだけのリターンがあるかどうかです。この点を天秤にかけて、どちらの作戦を取るかはゲーム展開によります。


 序盤に株をオークションに掛けられ、収益が減ってしまうと立ち直れないという意見も聞きますが、それはオークションに掛けられる方が悪いのです。オークションにかけられるということは、他のプレイヤーから「高収益だ」と見られているのです。特に第一ターンにむやみに線路を引いて会社の収益を上げていませんか?収益が上がれば当然狙われます。他のプレイヤーに高いと思われないくらいの株価を維持することで、オークションの相手にされないという「防御方法」があるのです。また「ヌルアクション(アクションを選択するが実行しない)」も重要です。結局、競りに掛けられなければいいのだから、「競りのアクションを潰してしまう」ことも有効な手立てになります。線路なんか引いている場合ではないのです。まずは競りによって価値を下げられることを「回避」しなくてはならないのです。ヌルアクションを活用し、株を割られないという保証を得てから線路を伸ばすのが手堅い作戦です。


 ここで、先日のジャガでのリプレイを見てみます。
 4人プレイです。初手で私は赤を$13で買いました。他の3人は15~17ドルでそれぞれ青、黄、緑を買いました。最初の手番と3回目くらいの計2回ほど赤で線路を引きましたが、後は全てオークションを選びました。赤の収益は11ドルでストップ。線路を引かないし開発もしないのでそのままです。しかし、1株で11ドルを稼ぐのはかなり優良であると判断していたので、わざと止めていたのです。この中途半端な金額のおかげでゲーム終了時まで赤の新たな株は競りにかけられず、11ドルの収益をキープしました。
 収益11ドルの赤会社が仮に3株すべてを出すことになった場合には、比率だけを考えると収益を33以上にしないと意味がありません。この後そこまで収益を上げるだけの資金を投入し、建設アクションを取って、収益を33以上に持っていくことの大変さと、11のままキープして、他のことにアクションや資金を使うこととを天秤にかけ、後者のほうが有利であると判断したのです。もちろん前者を選択したほうが良いという考え方もあります。自分の収益を伸ばすことにアクションや資金を使うのか、それとも他人の収益を減らすためにアクションと資金を使うのか、という判断をすることになります。
 その後は、他のプレイヤーが持つ会社の株をどんどん競りにかけ、そのたびに他のプレイヤーは多額のお金で落札していました。つまり、他のプレイヤーには必要以上のお金を会社の金庫に投入(無駄遣い)させたのです。(安いと思える金額なら、もちろん自分で買います。)途中で青も伸びてきたので競りにかけ、安かったので1株買いましたが、線路アクションは青株を2数持つプレイヤーがやってくれました。(こうして節約したアクションで、他人の株価値を下げる競りをどんどん行ったのです。)結果、他プレイヤーは皆お金を儲けてもすぐに株購入につぎ込んだため、スコアがさほど伸びない形で終了したのです。


 最後に、無駄駒配置のテクニックを説明します。BGGに出ていた簡単な例です。私が青2株と赤1株持っていて、あなたが青1株と赤2株持っていたとします。「お互い協力して赤と青を伸ばしていきましょう。」というのも一つの手ですが、例えば、私は赤で建設を行い、無駄に汽車駒を消費します。こうなると、あなたが収益を期待できるのは青しかありません。やむなく青の収益が上がる行為(建設か開発)を行いますが、私がその行為によって得られる効果はあなたの2倍になります。
 このように、邪魔をするために建設アクションを選び、無駄に汽車駒を消費するプレイ展開になると、ますますシカゴには届きません。特に駒数がギリギリの赤はここが致命的な弱点です。自腹で線路を引く必要がないと考える人が増えても、同様にシカゴには届かないでしょう。

 こうした牽制主体の展開になると、ボードは例えばこんな感じになります。
 http://www.boardgamegeek.com/image/376960/wabash-cannonball
 (元ゲームであるワバシュキャノンボールの改良マップ+エリー拡張込ですが雰囲気は読み取れると思います。)


 こうした概要をつかんでいると、CEが深いゲームだということがわかってきます。今まで自分の会社だけしか見えていなかったのがウソのように、多彩な戦略があることに気づくことでしょう。終盤シカゴに多数の会社が乗り入れるような和気あいあいプレイになるのか、けん制し合って山脈の中で鉄路がとん挫するのかは、ゲームごとに異なります。少なくとも前者(和気あいあいプレイ)しか体験したことがないのであれば、是非けん制しあった展開も体験して欲しいところです。
 CEはプレイするたびに、新しい発見と感動を与えてくれるゲームです。このゲームのファンの一人として、ぜひ一人でも多くの方にCEをプレイして頂きたいと思っています・・・っていうか一緒にプレイしましょう!

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